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第二章【始動】〜April, 2001〜

スタートするのは本人の勝手だが、一人で言っていても多くの人の協力がなければ成り立たない。
The Dynamitesのメンバーに、自宅で全て録音してソロCDを作った凄腕メンバーe-chanがいるけど、
彼だって全く一人でやれたわけではない。
彼の人柄で多くの人の協力があったからこそ、実現したはずである。
僕としてはCDのリリースに拘らず、出来ることからどんどんスタートさせたいと思っていた。
しかしながら相談出来る人間は、僕みたいな我が強い人間にはほとんどいるわけがなく、どうしようかと思案に明け暮れていた時、
ふと思いついた顔があった。
そう、最近多くの仕事でお世話になっている大切な仕事仲間。ここでは仮に太郎さんとしよう。
メールによる仕事のやり取りの中、さりげなく、しかしわかりやすいように、ソロプロジェクトの相談をもちかけた。
そうしたら、

「後藤さんのソロ、聴いてみたい!」
とあまりにも快いお返事!早速デモテープから作り始めることになった。
まずは一人目の感謝。
次に、僕が大学を卒業してから時折気にかけてくれる事務所の社長。
気にかけてくれながらいつも裏切ってしまい、なかなか期待に添える活躍が出来ていないのだが、
たまたま別の仕事のことで連絡を頂いた時に、
実はソロの活動を始めようかなと思っているのですが・・・
と尋ねてみたところ、
「今まで色々なアーティストをやってきたけど、唯一うまくいっていないのは後藤君の事なんだよなあ」
と言いながら快く引き受けてくれた。二人目の感謝。
デモを作るに当たり、まずは楽器編成、楽曲の選択のコンセプトの相談。
楽器編成に関しては太郎さんが、
「The Dynamitesに至るまで色々な楽器編成に取り組んできた後藤勇一郎が、
今あえてヴァイオリンとピアノというオーソドックスな編成に帰る」
という意見を言ってくれて、僕もそれにすぐさま賛同。
今までなかなか良いプレイヤーに出会えなかったことから敬遠していたヴァイオリンとピアノという編成に、
あえて挑むことにした。
楽曲に関しては一任を受け、作曲及び編曲に入ることにした。


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